2007年09月18日

『クドリャフカの順番―「十文字」事件』 米澤穂信/角川書店

クドリャフカの順番 (角川文庫)クドリャフカの順番 (角川文庫)
米澤 穂信

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この古典部シリーズが一番好きだ。キャラも、ネタも、面白いところも、痛いところも。『さよなら妖精』も好きだが。
ミステリーとしては弱いと思う。特に、前作・前々作はミステリー色がそこそこあったので、弱く感じるかも。
でもねー、このシリーズって、ポイントそこじゃないから。と、自分は思ってるから。
もちろん、そこもちゃんと作ってあるとより良いんですけどね。

前2作は、基本的にホータロー視点のみだったのだけれども、今回は主人公格4人の視点が入れ替わる。心の中で何を思っているか、他人の評価など、今までではわからなかったことが語られて興味深いです。
個人的には、摩耶花が興味深かったな。里志はなんとなくわかってたし…彼がどういう気持ちで「データベースは結論を出せない」と言っているか、とかね。まあ、摩耶花への気持ち、いや態度はちょっとわからないんですが。……自分、女だからかな?男の方、わかりました?

なかなか切ないテーマよねえ……才能というのは。
既に『愚者のエンドロール』の感想でもいろいろと書いていますが。
もうこの歳(30代)になると、自分の基本的な性格はもちろん、今まで自分のしてきたことに対する能力の限界なんかもわかるわけで。自分の将来の長さ(大きさ)は可能性はニアリーイコールな気がするわけです。
だからかな……高校生よ、悩め悩め(笑)
なんて、自分がその頃、たぶんまともに向き合わなかったから今そうやってうらやましいと思いつつ高みの見物を決め込むのです。つか、決め込まざるを得ないのだが。
でも、もしかしたら、まだ自分がやっていないことに対して、何か能力を持っているかもしれない。とかちょこっと思ってみたりもする。デイトレーダーとか(そんなバカな)。
ただ、それは、今までの自分には存在しなかったことで、このまま進むならやはり存在しないことだから、殻を破るのにすごくパワーがいる、精神的にも肉体的にも環境的にも。新しい家族を持つと保守的にならざるをえない部分もあるし。
そのパワーは、若い頃より格段と必要で、でも、若い頃より持っているパワーが落ちている。
だから、やっぱり難しい。
それでもやる人が、可能性をつかめるのだ、きっと。

……とか思ってる自分は青いのか。ああ、30代で青いのか。
うわ、やだなあ。あー、でもいいのか?若いってことで。 <どっちだよ
ま、でも、とりあえずあがけるところまであがくしかないよね〜、結局。そこか。

毎度おなじみのホータロー姉、ちょっと今回はやりすぎじゃ?
万年筆がでてきたとき、絶対これがキーになるな、という予感はありました。結局、絶対的なキーではなくて、わらしべキーだったわけですが。それは読んでて面白かった。どうころがるかな、と。
ただ、それが最後までキーになれば良かったんだけど、結局小麦粉で終わってしまったところが残念。そして、キーとなるものが、結局また姉がよこしたもの、なんだよね。うーん……。
摩耶花がちゃんと持ってきたんだけど、迷って迷って迷ってるうちになくしてしまって→姉がどうにか、とかのほうが良かったと自分は思うんですが。
まあ、折木姉だから、といわれればそれまでなんだが。裏を知ってますよ、っていう伏線もなくなぜか知ってる、というのが自分には受け入れられないのかも?

個人的に、学校生活とか日常をうまく書いてあるのって好きなんですよね。ハリポタも、賢者の石の中盤がすごく好きだった。
なので、この本も、まあ文化祭というのは非日常でもあるのですが、ホータローにとってはほとんど日常と変わらない感じだと思われ、その点が楽しかったです。
……でもそういう人は少ない気がする(苦笑)
もちろん、そういう希少な人でなくとも、楽しげな非日常も楽しめますので。えるが料理が得意なのはかなり意外だった。不器用そうじゃないですか、彼女。←失礼な。

そうそう、あと、『クドリャフカ〜』を読むには、『氷菓』はともかく、最低でも『愚者のエンドロール』は読んでおいたほうが良いです。
時系列的にも、というのもあるのだけど、テーマが続いているからです。
『氷菓』のテーマは微妙に違う……ような気がするので特に問題ない気もしますが、もちろん一番初めに読んでおくとさらに良いですけどね。

2007年7月16日
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posted by ねむ at 21:26| Comment(0) | TrackBack(2) |  米澤穂信

2007年07月18日

『愚者のエンドロール』 米澤穂信/角川文庫

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米澤 穂信 高野 音彦

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最後のえるのセリフが好きです。
自分は、嫌いというより、ミステリ=殺人、である必要はないってだけですけど。
それに、結局そこのところがポイントなわけですしね。
実のところ、ホータローの出した初めの結論(採用された方ね)、オドロキでもなんでもなかったのでした。綾辻行人の『どんどん橋、落ちた』で似たオチ(トリック、か)があったし…。まあ、私が『愚者〜』を読んだのは角川文庫版が出てから、『春期限定〜』が出た後ですから、しょうがないかな。んー?あれ?両方とも(『どんどん〜』は文庫版)出たの2002年みたい…?

しかし、米澤穂信の本はみんな「痛い」よなあ、と思う。
自分はもうとっくの昔にじたばたしている青春時代(うわー、青春だって)は過ぎてしまったので、もう達観…というとかっこつけすぎ?諦めてる部分というか、冷静に突き放してみることができる部分があるのだけど、それでもやっぱりこぶしでぐりぐりっとやられる感じがするんですよ。
ドガッ、バキッ、とかいう一撃ではなくて、腹にこぶしをあててぐりぐりっと。鳩尾をね。締めるに締められない部分をね。
この本で言うと(次の『クドリャフカ〜』もそうだけど)、才能の有無とか才能の自覚とか、ね。性分、というのもあるかな?

入須がホータローに、スポーツクラブのレギュラーの人と補欠の人の話をするんですが…
あれって、レギュラーの子が才能を使っている上での無自覚じゃないですか。ホータローの場合、使っていない無自覚だよね、どっちかっつーと。今の時点では、まだ。(…里志にとっては既に使っている無自覚になってるかもしれないけど。)
だから、微妙にあてはまらない気がするんですけどね。
それでも、それにのっけられてしまって、最後に落とされると…入須がどこまで本気で言ってるのか微妙だけど…でもやっぱりツラいよなあ。

ホータローの省エネ信条って、あの姉がいたからなんじゃないかと思ってしまうんだけど。考えすぎ?

2007年7月11日
posted by ねむ at 13:47| Comment(0) | TrackBack(0) |  米澤穂信

2005年05月12日

『春期限定いちごタルト事件』米澤穂信/創元推理文庫

春期限定いちごタルト事件リサさん@Bluewing*BLOGで見かけて気になってたんですが、たまたま古本屋で見つけたので即購入。
この話は「いちごタルト事件」を解決する話だと思ってたの。けど、違うのね〜。どう違うかは読んでからのお楽しみということで。

初めはすごいビミョー、と思ったのよ。小鳩くんは小市民小市民言う割に思いっきり顔突っ込んでるし。小市民をめざすからには、その理由があるはずなのだけど、小鳩くんにしても小佐内さんにしてもなかなかそれが語られないのだ。前半はかなりイライラしましたよ…一人称なのに語られないというのが!三人称ならここまでイラつかなかったと思うんだけど。
ついでに私に言わせてもらうと、本当の小市民はテレビに映ってはピースサインをし、インタビューを受けては友人に自慢するものだよ!(笑)いちごタルト事件も犯人がわかってるんだから、長いものに巻かれる…ではなくて、なんていうの?こういうの。とにかく、権力を利用しなきゃ〜(学校にチクる・警察利用)
後半になってやっと小鳩くんがなぜ小市民をめざすのかちぴっと語って、少なくとも小鳩くんの事情は非常に納得。でも、やっぱりこの点についてはかなり消化不良感が残ります…表現自体も小市民的で(笑)狙ってんのかな。
小佐内さんも、最後にはキター!という状態になります(笑)ただ、そのキレ方ももうちょっと描写して、それまでの小市民・小佐内さん像をめちゃめちゃに破壊するべきだったかな、と。カタルシスの度合いがいまいちかも…。小佐内さんに関しては一人称がないから、もう少し漫画的描写をしたら良かったのでは。その方が小佐内さんがより面白く描写できたんじゃないかな。
小山内さんサイドの事情を知りたいなあ。小山内さん一人称の続編希望〜。

小市民をめざすふたりは、ちょっといじらしい。だけど、なんだかんだいって二人には小市民は似合わないよ(笑)
そのうち、小鳩くんも小佐内さんも、その力(?)をうまく使うことを知る時が来るだろう。健吾から学べるかな?「ばかとはさみは使いよう」、自分の能力や性格も然り…だと思う。
2005年4月20日
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posted by ねむ at 19:11| Comment(0) | TrackBack(0) |  米澤穂信