
再読。初読の時は特にいいと思わなかったけど、今読んでみると秀逸だと思った。
これは、ミステリではあるけれど、どちらかというと青春小説ですね。犯人や謎がどうの…というのがメインではないよね。
自分たちの世界以外にも世界はあるのを知っているくせに、それを馬鹿にして、自分たちの世界で完結させようとしてしまう彼女たち。そういう年頃なんですよねえ。良くも悪くも微妙な、ボーダーライン上にある。
それを抜けて──15年経って、やっと真実がわかるというのは当然のことなのかもしれない。私も、今になってわかったことがたくさんあるもの──思い出したくもないが。(笑)
唯一本当の犯人がわかっていた人間というのが、初読のときは意外だったのだけど、彼女が「持ち上がり組」でああいう性格で立場だったというのも当然といえば当然なんだろうな。↑ちょっと(イヤかなり)ネタバレ↓
ラビは、飛鳥に向かって犯人の名を口にはしないという。
「あたしに断罪の資格なんか、ないからさ。〜中略〜そいつはずっと背負っていくんだ。誰にも告げられない罪を。〜中略〜犯人を楽にしてやらなくちゃなんない義理なんか、あたしにはないね」
そのとき宇佐は飛鳥が犯人だと思っていたからそういったのだと思うのだけど。もし、もし宇佐がそのとき犯人=飛鳥だと思っていなかったら、彼女はどう言っただろう?犯人をマナミや夏見、サワだと思っていたら同じ答えになったかもしれないと思うけど、他の世界の人──クラスの持ち上がり組の人が犯人だと思っていたら?教師だと思っていたら?
彼女の口からは違う言葉が出てきたのではないか…と思う。
あとさ、どうでもいいんだけど、最近の結婚式って仲人立てないことが多いから、大抵の人はダマされる気がする…;; 私、仲人がいる結婚しきって出たことないもん。だから、仲人がどこに位置するのか知らない……。ええ、もちろんダマされたさ!それに、金屏風に座っているのが誰なのか、最後の方までわかんないんだもんなー。もちろんそこがミソなんだけどさ。夏見、宇佐、飛鳥はキャラがはっきりしてるけど、マナミ、洋子、サワは微妙ですねえ。夏見とマナミは表面的に非常に似ている気が。表面的に同じようになってしまうのはわかるんだな。なんだかんだいって微妙に似通うんだよね、特にツルんでる子同士は。だから、その分バックグラウンドを出さないとキャラ分けがはっきりしなくなってしまうのだと思う。マナミも洋子も、自宅での描写がでてきて初めて違いがわかってきたもの。これは、作者がとかいう問題ではなく、事実として、ね。逆にいえば、そういう部分までよく書けてるともいえるのかも。
ただ、この話でこの長さ(一編が)だと、バックグラウンドを多く書くと蛇足的でだれるので仕方ないところか。
私も女子高だったんですよねえ。ただ、県立だったし中学や大学は併設されていなかったので、「持ち上がり組」「アウター」みたいな枠はなかったけど。
そのせいもあって、非常に共感を覚える…というより、痛い、痛いよ!まさに今自分が30歳で、結婚式場にいる彼女たちとほぼ同じ年齢で、同じ年のころを振り返って読んでいるので…あまりにも自分にハマり過ぎてて痛すぎる。思い当たることばっかりで、今振り返ると、なんて何もわかってなかったんだろうと顔から火が出ますわ(苦笑)
彼女たちみたいに、過去を振り返って、外側から物事を見ることはできるようになったよ。でも、まだ冷静に懐かしく思い出すことはできない──良いことも悪いことも。だから、同窓会には出られないし、出たくない。
いつか良いことも悪いことも懐かしく笑えるようになったら、同窓会に出られるかなあ。それはいつのことだろう…。
最後、夏見と宇佐だったかな?卵の話をするでしょう。あれがとても沁みました。まだキツいね。
ところで、『ぼくのミステリな日常』で箱根に旅行した女子高生の話が出てくるんだけど…もしかしてこの子達?『ぼくの〜』が手元にないから確認できないんだけど…。文庫出てたら『ぼくの〜』も買おうかなあ。
2005年2月3日