2003年07月22日

『朝霧』北村薫/東京創元社

朝霧 (創元クライム・クラブ)朝霧 (創元クライム・クラブ)

東京創元社 1998-04
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この本では時の流れが早い早い。これまでは、大学4年間が4冊だったけど、この本では大学卒業直前くらいから4年くらい軽く時が流れてる。『山眠る』を読み終え、『走り来るもの』を読み始めて、あれっと思ってしまった。卒業式がについてとか、友人たちがどうなったとかぜんぜん触れてないから。きっとそういうことは「私」にとってはそれは些細なことだったんだろう。どうでもいいことではもちろんなくて、大事なことではあっても、自分の考えや人生を左右させられる出来事ではない、という。よく考えれば、そういったものって、予定されていた通過儀礼だもんね。
短編が3本収録されているんだけど、前2本はどちらかというと暗い。ああ、また人の裏側…見たくはないものを見てしまった、という。それだけに最後の表題作である『朝霧』にはほっとした。
若きお祖父さんが鈴ちやんの想いに気づかなかったのは悲しくあるけど、その想いが時を越え「私」の背中を押したのは、なかなかロマンティックで気が利いているなあと思うのだ。
お話だから、とか言っちゃダメ。(笑)
2003年7月21日
posted by ねむ at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) |  北村薫

2003年06月23日

『六の宮の姫君』北村薫/創元推理文庫

六の宮の姫君 (創元推理文庫)六の宮の姫君 (創元推理文庫)

東京創元社 1999-06
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以前読んだとき──確か3、4年前だと思うけど──は、自分に日本文学の知識がないだけに(菊地は一編も読んでないし。芥川も数えるほど。ほかにも沢山名前が出てくるけど、知ってる人は一握り、読んだことがある人は片手であまりあるという情けなさ;;)、難解だと感じました。先日ダンナが読んでたんだけど、やっぱり自分に知識がないからよくわからないと、同じことを感じたようです。
けれど、もう一度ゆっくり読み返してみるとどうでしょう、全然!難しくないです。難しい難しくない、文学史に詳しい詳しくないなど関係なく、芥川の、菊地が何故その作品を書いたのかがわかる。「私」を通して。
今まで私小説って嫌いだったし、純文も、私にとっては「ナニコレ?」的なのが多くてあまり手をつけなかったんだけど、こういうふうに掘り下げていくと面白いものなんだなあ。眼から鱗。おかげで、今年は純文も読もう、という気にさせられてしまった。
真珠婦人のくだりはちょっと笑ったなあ。だって、去年だか一昨年だかにドラマでやってたでしょう。本も平積みされたりしてたから、読んだ人が一時的に増えたかも(笑)でも私は見てないし読んでないんだけどー(おい)
大筋とは全然関係ないんだけど、百合の花が咲くところ、あるでしょう。『夜の蝉』でお姉さんが失恋して(こう書くとすごく簡単だな)、今回電話がかかってきて、丁度「私」が鉄砲百合が一つ、凛として咲いているのを見る。
この百合って、お姉さんのことを象徴してるなあと思ったんだけど…どうよ?

今まで、読み返してもその作品に対する姿勢(読み方)や感想が変わることっていうことがありませんでした。けど、最近になって、結構変わることが多い。一つは、他の人の読書感想を読むようになったからだと思う。それによって、まったく違う見方でその作品を再読できるようになった。それと、私自身の考え方が多少変わったんだろうな、と思う。年をとったのかもしれないなあ。きっと、今読んだ作品も、また10年近く後になって読むと、感じ方が変わるんだろうなあ。
若いことはいいと思うけど、年をとるのもまた(成長しているならば)悪くないと思う。
しかし…芥川が若いのは知ってたけど、志賀直哉までが若くてかなりとってもオドロキそしてビビリ。
2003年6月22日
posted by ねむ at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) |  北村薫

2003年06月20日

『秋の花』北村薫/創元推理文庫

秋の花 (創元推理文庫)秋の花 (創元推理文庫)

東京創元社 1997-02
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なんか…「津田さん」像をよんでいて、恥ずかしくなってきてしまったよ。なんて大人なんでしょう、この人は。無理に背伸びしているというわけでもなく、自然で。
若いころ(イヤ、アタシは今だって若いが。成人する前ということよ!)、私は「ちゃんとした大人」になりたいと思ってた。「ちゃんとした大人」っていうのは、上手くいえないんだけど、たとえば
最低限のマナーをわきまえている とか
幸せがなんなのかわかっている とか
過去のことは過去のこととして乗り越えていける とか
そういう…わかるかなあ?まあ、理想なんだけど。
たぶん津田さんて、そういうひとなんじゃないかなあと思うのね。まだ高校生だから、知らないことも沢山あって、至らないところも沢山あるだろうけど、なんていうのかな、心意気というか、基本的なところがね。
そう思って、うらやましいと思う一方で、自分が情けなく恥ずかしくなってしまったわけです。いい大人なのにねえ。気づいたら「ちゃんとしてない大人」ですよ。恐ろしいことだ。日々の心がけが全然できてなかったんだなあ。反省。

読んでいる間、河原で和泉さんを見つけてから服を脱がせるあたり(って書くと妖しいな;;)を読んで涙してしまった。おいおい。
初めて読んだときは涙なんてでなかったのに、どうして今はでるのか不思議だ。自分に子供ができたというわけでもないのにねえ。
2003年6月19日
posted by ねむ at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) |  北村薫

2003年05月20日

『夜の蝉』(連)北村薫/創元推理文庫

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

東京創元社 1996-02
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さらに「私」が人の内面、そして自分の、家族の内面を見ていく話。
今回のシリーズ一連作品では、もうすっかり「私」の成長物語として読んでますわホホホ。

お姉さんが、「おねえちゃん」と連呼されて自分の位置を自覚する(あきらめる?)というあたりがしみじみときました。
いままで私は「娘」で「妹」(兄がおるのですわ)でしかなかったけど、きっとこれから先どんなにいやがっても「母」にしかなれないという時がくるはずだから。
「娘」も「妹」も、生まれたときから決まってるからなんにも思わないけど、「姉」「兄」や「父」「母」っていうのはあとからついてくるもんね。
「「××」である前に一個の人間」とかよくいうけど、それはもちろん真実でただしいけど、お子ちゃまに「アタシは母である前に一個の人間なんじゃー!」とか言っても無駄だもんねえ。
2003年5月18日
posted by ねむ at 18:26| Comment(0) | TrackBack(0) |  北村薫

2003年05月19日

『空飛ぶ馬』(連)北村薫/創元推理文庫

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

東京創元社 1994-03
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こういう「日常の謎」の話って、今でこそ当たり前のようにあるけど、これが出たときはかなり新鮮だったのではないかな?私はかなり送れて読み始めたので、「当時」ではないけれど、実際ばたばた人が死にまくる話ばかり読んでいたのは事実なので、なかなか新鮮だったような覚えが。
全体的に…改めて読むと、思ったよりダークだなあ;;
血みどろでグログロっていうのもダークだけど、やっぱり人の心が一番ダークだわ。

「私」はずいぶん潔癖というか、世間ズレしてないと思う。悪く言えば、本や劇(落語含む)などの空想的なところで生きている部分が多く、現実から目をそらしているような。
きっと本人もわかってるんだろうね、だから泣いたりするんだ、ああいうとき(蔵王ね)に。
ああ、駒子(『ななつのこ』加納朋子)も似てるね。
きっとこういう子、たくさんいるんだろうなあ。

蔵王の落語のシーンで思ったんだけど、落語とか…本もそうだけど、想像力豊かで感受性が強くないと受け止められないなあって。
漫画や映画やゲームだと、もちろんそれらだって想像の余地はあるわけだけど、やっぱり削られる部分があるじゃない?
私は、本を読んでるけど、ちゃんと受け止められてないな…と思う。
こうして感想を文にしていくうちに、積み重なっていけばよいと思うのだけれど。
2003年5月17日
posted by ねむ at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) |  北村薫