2007年09月18日

『彩雲国物語―花は紫宮に咲く』雪乃紗衣/角川ビーンズ文庫

彩雲国物語―花は紫宮に咲く (角川ビーンズ文庫)国試に受かった秀麗が、イビられつつも耐え、自分の足で歩く話。
……って書くと感動だ。いや、いい話なんですよ、途中まではね。

まあ、ちょっとツッコませていただくと、そういう職にまわすにしても、若い女性に便所そうじはどうなのよと。
いや、便所そうじはいいんですよ?でも、昔の中国の便所って……どんなんだったんだろうと。
だってさ、中国ってちょっと前まで個室といってもまるみえだったという話ではないですか。行ったことないから経験はありませんが。とか思うと……どうなってるんだろう。
いや、これは中華風ファンタジーで中国ではないんですが。それはわかってるんですけど!
だって描写がないんだもん。
……え?ヘンなところ気にしてるって?そうですね、ハハハ。
ついでに、第2巻の感想でちょこっと触れたので触れますが、女性が受ける国試について。特別ルールで行ったってあるけど、推薦人が云々てあたりはともかく、イチから合わせて行わないっていうのはどうなのよ。ただでさえ風当たりが強くなることはわかっているのだから、できるかぎり「有利」かと思われる点は排除した状態で持ってきたほうが良かったんじゃないですか、主上&絳攸さん?

ま、それはさておき。
前半の、とにかく自分で歩いていこうとする秀麗は立派です。心細さもわかるし。
イビり方が宮城で働く知性と教養を持った方々にしては異常な気もしないこともないけど、ないとはいえないしねえ。現代社会でも似たようなことはあるし。幸い自分は遭遇してないが……仲間ハズレ的なものはあるけど。がんばれ秀麗、と応援したくなる。
もうちょっと、人の裏側や密約などをイビられ仕事で見ることができたとか、「証拠」を集める部分の描写があると良かったけどね。ま、それはよいとして。

そこまでは良かったのに……、
最後のアレは、なんなんだーーーーーーーーッ!
「すごい」「能吏」ばかり書いてあって、実際どうすごいのか、どう能吏なのかというのがわかりにくい、というのは前々からありましたが、これはちょっとひどすぎます。
せっかく、途中で奇人が「証拠」を盛り込ませたり、秀麗と影月ががんばってレポートをキッチリあげてきたのに、「能吏」の奇人を初めとする面々が、ああいう落とし方をするのはどうやっても納得がいかない。
ちゃんと理詰めでキッチリ落としてほしかったです。
あれはどうにもこうにも。いくら少女小説だからって、あれはないよ。ひどすぎです。
前半がそこそこ良かっただけに、本当に残念です。

2007年8月26日
posted by ねむ at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | やらわ行

『彩雲国物語―黄金の約束』雪乃紗衣/角川ビーンズ文庫

彩雲国物語―黄金の約束 (角川ビーンズ文庫)1巻の感想から続いている?のか?)

だがしかし、9巻あたりまで読み終えた今思うと、面白くなってきたのはこの巻からかも。
今回は、秀麗が侍僮として宮城で働く話。
前回、基本的には受身だった秀麗が、棚ボタとはいえ積極的に動いているように感じられる。たぶんそれは、秀麗がきちんと「やりたいこと」を示して動いているからかなあ。前回は、「仕方ないけど引き受けた以上はやるか」的な感じだったしね。
前回って、秀麗の成長がないんですよ。ハナタレ小僧(by 黎深)の成長があるからいいんですけどね。秀麗の心の動きが少ない気がする。
けど、今回は、悩みに始まって、元気になり、また悩み、上へ行く、という姿が見えて安心するし、物語として楽しいと思う。

また、新キャラ・燕青がいいキャラしてますね。景侍郎もいいです(奇人は?)。
禿鷹はちょっとアレなんですが。
あと、結局やっぱり国試を受けられるようになるのが早すぎ。特に次の巻を読むと、フツーならその次まで待って、イチからきちんと受けさせるだろ、と思う。ま、それについては次の巻で。

個人的には、9巻までの中では一番まとまってるし、面白かったなあと。シリーズ内で一押しかな。

2007年8月25日
posted by ねむ at 22:41| Comment(0) | TrackBack(1) | やらわ行

『彩雲国物語―はじまりの風は紅く』雪乃紗衣/角川ビーンズ文庫

彩雲国物語―はじまりの風は紅く (角川ビーンズ文庫)前から気になってたんだけど、たぶん美青年がたくさん出てきてラブラブ話なんだろーなーと思っていたので(間違ってはいない)手にとってなかったんですが、角川の夏の100冊に入っててうっかり手に取ってしまったのが運の尽き。
なんかよくわからないが、はまった。本当に、なんではまったのかまったくわからない(笑)

ツッコミ所満載なんですよねー。ツッコんでいい?細かいところ。
・楸瑛と絳攸が出てきたところ、姿の描写がないのでどっちがどっちかわからない。とりあえず挿絵で手をついているほうが文からして絳攸だと判断したが、絵だけ見ると冠かぶってるほうが文官のイメージなんだよね…実際どうだったのか知りませんけども。しばらく楸瑛と絳攸の会話周辺と絵を見比べてました。
・秀麗が後宮からコッソリとはいってもするっと出られちゃうのがありえない。
・「礼儀をきっちり身に付けている」秀麗が、宮城で「誰だかわからないけれど(一応)、高級そうな服を着ている」男性に対して、「○○さん」て呼ぶの、そりゃないでしょ。「○○様」でしょ普通。じゃなかったら殿。「さん」て…。
・↑まあそれは少女小説ということで百歩譲っても、迷子になった絳攸が後宮に入れちゃうなんてぜーーーーーーーったいありえない!! だって、単なる家臣ですよ?しかも男で、独身ですよ!ありえないーーー!
・↑ということで、後宮ということばについて、作者が「後宮」=「主上の私邸」という前提で書いているのかな、それならギリギリなんとか千歩ゆずってアリか、とも思ったんだが、やっぱり後宮は後宮として書いているようで。とするとやっぱりありえない。
etc.

一番気になったのは後宮ですね。まあ、そうならないと話が進まないと思ったのかもしれませんが。
ファンタジーなのはわかっているし、実際中国と違っててもいいと思う。けど、さらっと「後宮」という言葉を使っているのならば、通念の範囲で使って欲しいのですね。
いくらファンタジーだからって、何の説明もなしに1+1が3になっちゃったり、太陽が西から昇ってたら読み手は混乱しちゃうわけですよ。

……とかまあツッコんでるわけですが。
そんなことカっとばしてぐいぐい読み進めてしまえるだけのパワーがある。と、思った。だから売れてるんだろう。
もちろん、少女小説的な読みやすさというのもあるんだけどね。そして、それが嫌いな人もいるのでしょうが、自分は引っ張られちゃったなあ。
この一冊目を読む限り、自分としては特に惹かれた男性キャラもいなかったし、邵可のキャラもわりと予想してたとおりだったし、秀麗はパーフェクトガールで微妙につまらないし、秀麗の裏(隠された思い)は序盤で自分がバラしてるし、どうにも自分的に盛り上がるところがなかったんですが。
なぜ。それで何故面白いと思ったのかが不思議だ。
それが、パワーのせいかなと。
あとは、恋愛べたべたの話だと思っていたから、ちょっと違う方面の陰謀があったので、自分の中でOKが出たのかも。

とにかく、総合では面白かったです。
少女漫画として読めば、なので、それが出来ない人にはお薦めしませんが。

2007年8月22日
posted by ねむ at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | やらわ行

2007年03月11日

『ぶたぶた』矢崎存美/廣済堂

no imageああ、表紙の写真がない!すごくかわいいのにー!

実は、ぶたが大好きなんである。
昔は荘でもなかったし、最近までそうでもなかったと思うのだけど(まあ、過去を紐解くとぶたが好きなんじゃないかという片鱗があったりするんだが)、とにかくここ数年ぶたに目覚めたらしく、ぶたが大好きなんである。おかげで会社にも家にもぶたが増殖中…まさにぶた小屋[:ぶた:]

この本の存在を知ったのは、ぶたに目覚める前だったので、とくに何も思わなかった。が、わりと読書の好みが似ている読書サイトの管理人さんが好きだったようなので、頭の片隅においておいた。だいたい、タイトルだけじゃ何のどんな話かわかんないじゃん(笑)
…その割には今の今まで忘れてたんですけどね。
で、先日たまたま図書館で出会いまして。「ぶた!」「そういえば!」と思った瞬間本を取っていたというわけで。われながら思考が単純だ;;

山崎ぶたぶたは、ぶたのぬいぐるみ。
ある時はベビーシッター、ある時はおもちゃ屋の店員(当然売り物に間違えられる)、ある時はタクシーの運転手、ある時はフレンチレストランの凄腕シェフ、あるときはホームレス、ある時は探偵に尾行されるサラリーマン、ある時は”殺られ屋”、ある時は台風でとばされて記憶をなくし、そしてある時は…
とまあ、愉快なぶたさんである。
はっきりいって、すさまじくカワイイ。しゃべるともくもく動く鼻だの、牛乳を飲む姿だの、かわいすぎるっ。
でも、中身おじさんなんだけどね…。どっちかというと、「いい人」系のおじさん。ぬいぐるみというのにも驚いたけど、中身がおじさんというのがさらに驚いた。話によっては人間の奥さんや子供がいたりして…どんな世界だよ!っていうか、どーやって子供ができたんだろう…コウノトリか?ありえん話じゃないな…なんせぶたのぬいぐるみが動いて喋る話だし。

中にはシュールな話もあるのだけど、基本的にとてもやさしい話。
そりゃそうだ、なんてったって相手がぶたのぬいぐるみだもの。彼を前に、頑なな心はほどけるし、ささくれ立った気持ちはなりを潜め、悲しい気持ちもやわらいでいく。
でも、それは彼がぶたのぬいぐるみだから、ってだけじゃないと思う。やっぱり、山崎ぶたぶたのパーソナリティがあってこそ、だと思うんだけどね。

『殺られ屋』でぶたぶたが、痛くないんです、壊れても直せばいいだけですから、という。
たしかに腕が縫製部分でちぎれたとかならいいけど…、ぬいぐるみは逆に、治らないんだよね。その証拠に、数年後のぶたぶたは満身創痍だったじゃないですか。
それに、燃やされなくたって、たとえば電車にはねられたら、細かい部分までバラバラよ?つなぎ合わせるったって、かなり無理が…
平気じゃないよ、ぜんぜん。人間だってぬいぐるみだって、モノだって、もとどおりなんてことはありえない。魔法じゃないんだから。
だから、跳ね飛ばされて、スッキリして、そこで終わりじゃなかったんだなあ。


それにしても、すごい世界を作ったもんだ。
なんてったって、ぶたのぬいぐるみが普通に生活できる社会ですよ?ファンタジーじゃないんですよ。渋谷とか地下鉄とかとしまえん(たぶん)とかなんですよ!
初めはみんな驚くし、主人公も驚くけど(ツッコミ入れまくりなのがおかしい)、みんな当たり前のように受け入れているんですよね。
そういう社会って、素敵じゃないですか。きっとみんなが幸せに生きられると思う。強い人も、弱い人も。美しい国って、きっとぶたのぬいぐるみが普通に生きられる国なんじゃないかな…。

2007年3月3日
posted by ねむ at 12:49| Comment(0) | TrackBack(0) | やらわ行

2006年10月13日

『本陣殺人事件』横溝正史/双葉社

本陣殺人事件 日本推理作家協会賞受賞作全集 (1)実は敬遠してました、横溝正史。だって、なんだかおどろおどろしい感じがするんだもん。←すごい先入観
小学生の頃、ルパン読んでホームズ読んで、兄は次に乱歩を読んでいたのだけど、私は怖くて読めなかった。何が怖いって、表紙の絵とタイトルがおどろおどろしくて…怖いよう。
そんなわけで乱歩は未だに読んだことがありません。そして、横溝正史も、乱歩を同じ印象を抱いていて、手をつけてませんでした。
…しかし、二階堂黎人の蘭子シリーズは読めるのに…(笑)

が、「孤島フェア」をやった際、『獄門島』があるよん、と聞いて読む気になりました。でも、肝心の『獄門島』が図書館になくてねえ…
せっかくなので、有名な『本陣〜』を読むことにしました。
以前、『本陣〜』を基にしたミステリをアンソロジーかなんかで読んだのだけど、なんせ元ネタを知らないもんだから、面白み半減だったのですよねえ。

読んでみたら、意外にに(だからそれは先入観…)おどろおどろしくなく、金田一耕助も普通にヘンな人で親しみやすく、面白かった。いったいこの妙な先入観はなんだったんでしょう(笑)
中学か高校のときに読んでたら今よりハマっただろうに…。

金田一ってこんな人だったのね…。なんとなく思ってた想像と全然ちがってビックリした。つか、もっとおっさんだと思ってた(笑)
なんか、二階堂のサトルとイメージがかぶるんですけど、なんでだろう。ぜんぜん違うと思うんだが…。

なんというか、奇妙な密室ですね。時代も手伝ってるんでしょうけど。
確かにこれは、鍵のかからない、部屋が一個として独立しているとは言いがたい日本家屋での密室というのは画期的だったんだろうなあ。
トリックも凝ってるよね。すごく本格の香りがする。まあ、ちょっと怪しい?ところもあるけど、まあそこはそれで;; 琴だの水車だの、こだわってるよな、という感じがします。
それにしても、動機がこれですか…。時代だなあ。とはいえ、今でもそれに似たようなことは少数でもあるのかも?殺人にまでは発展しないでしょうが;;

本編とは全然関係ないんだけど、横溝正史の趣味が編み物で、娘さんのセーターやら毛糸のぱんつやらを編んでいたという話が解説に載ってまして。
それを読んだらものすごく横溝正史が好きになりました(笑)
2005年6月10日
posted by ねむ at 13:46| Comment(0) | TrackBack(0) | やらわ行

2003年02月07日

『さよならをするために』(短)唯川恵/中公文庫

さよならをするために何を血迷ったか、たまには恋愛小説でも読んでみようと思って買ったんだけど、やはり血迷ってました(笑)
全然理解できないんですよー、主人公の気持ちが。少女漫画の主人公は理解できるのに、彼女らは理解できないとは、私の頭は一体どうなっているんでしょう…吉本ばななは理解できるのにー。っていうか、OL(一応)のくせに何故!OL(一応)失格だわ!
恋愛小説というものは、できれば主人公、最低でも主要登場人物のだれかに同調できないとどんなに面白い本でもどうにもならないということを学びました…。
posted by ねむ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | やらわ行

『うたかた/サンクチュアリ』(短)吉本ばなな/福武書店

吉本ばななは、高校生のとき『TSUGUMI』を読んで何がいいのか理解できなかったのでどうかと思ってたんだけど、サンクチュアルを読んでガラリと認識が変わりました。
なぜかわからないけど、すごく心に沁みるんです。感情的に書いてあるわけじゃないけど、智や薫の心の動き、考え方が、書かれていないところまで伝わってくる、そんな感じ。基本的にうまいんですね、この人は。
私はすごく涙腺が弱くて、薫さんもかくやというくらいよく泣きますが、全ては洗い流せないみたい。そういうとき、この本を読むと、智のようにスッキリすることができます。すごいなあ薫さん。
1998年某日
posted by ねむ at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | やらわ行